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 2008年11月25日 レストランびそう マダムびそうさん 「食のつれづれ」

ヨーロッパで活躍する(元、現役)スチュワーデスの会発足!

この度勝手ながら「ヨーロッパで活躍する(元・現役)スチュワーデスの会」を発足しました!

びそうには、ヨーロッパに暮らす元スチュワーデスの方がかなりお食事にいらっしゃいます。ブルゴーニュにも私ともう1人この方!↓
http://diary.jp.aol.com/vkcytrn2qks6/

航空会社を退職されてからも、別の職業でバリバリ働いてらっしゃる方や、素敵なパートナーを見つけられて家庭を守ってらっしゃる方色々。

ヨーロッパという日本とは違う環境で頑張るスチュワーデス(今は客室乗務員と言いますが、敢えてこの呼び方で)の方々、航空会社・元・現役を問わず是非ご連絡下さい!

ご連絡はこちらへ↓
ヨーロッパで活躍する(元、現役)スチュワーデスの会事務局
担当 澤畠 メールアドレス bis@bissoh.com

 

http://blog.bissoh.com/

詳しくは上記ブログにて。

 

 2008年11月25日  ブルゴーニュ生活的 TOP写真

 11月25日撮影

 

 とある老舗ドメーヌを訪問したときの1ページ。

 迎えてくれたのは2009年に定年を迎えるオーナーのムッシュー。

 この恐慌を前にどのネゴシアンも買いを控えた2008年ビンテージ。蔵にはネゴシアンに売却できなかった大量のワインが眠る。その売れ行きに不安を抱えているのでは??と、質問を投げると・・・・

 「今までに5回のワイン不況を経験しており、売れないことに不安はない!」と、職人は胸をはった。

 それよりもだ、息子と娘が相続した畑を売らないかが心配だ。 と、ぼそり。

 

 「2000年のワイン作りの歴史と同じように家系で守ってきた畑もお金で買えなければいいのにね・・・・・」

 祖先が開墾した畑、それを守った父、そして子孫へ託す。 ワイン造りとは血でつなぐ職。

 

 「父がその職だったからさ。」 ワイン造りのきっかけへの回答はさまざまだが、実に味わい深い一言。

 

 2008年11月20日  徒然草 政(せい)ちゃん

徒然草 第4草   セイヨウノコギリソウ  Achillee millefeuille

 

セイヨウノコギリソウ ( Achillea millefolium ) はキク科の一種。

ヨーロッパ原産であるが鑑賞用によく栽培されている。また、野生化し空地や道端などでも見かけることがある。花期は 6-7 月頃。葉は細かい羽状複葉で、ノコギリのように見える。

花言葉は 「真心を持って」「戦い」「悲嘆を慰める」「治療」「指導」

この草もブドウ畑でよく見かける雑草である。ビオの生産者はよくこれを煎じ液にして畑に散布している。

 

栽培を振り返る

 2008 年は、非常に栽培者の腕を問われた年であった。というのも、葡萄の登熟期に当たる 8 月の天気は乱れ、病気防除の判断が難しかった。晴天の日も少なくはなかったが、今年の日本の夏のように、夕立が短時間に多くの雨を降らせたため。暑さと寒さの繰り返しで葡萄の登熟に時間がかかった。最も頭を悩ませたのは病気だ。

雨の後に晴れると大気が温まり、湿度を持つため、病原菌が繁殖しやすくなる。葡萄の登熟期は、酸度が減る一方、病原菌の栄養源である糖度を持つため、病気に非常に貧弱な状態である。湿度が高く、暑い時は ベト病 が蔓延するし、寒い時は うどん粉病 が葡萄を枯らせる。 2008 年のように気候の難しい年は、防除の時期の見極めがとても大事になってくる。

 今年はビオの生産者を中心に、ベト病とうどん粉病の被害が多く見られた。私どもの近くの有名なドメーヌでも、収穫前に葡萄の樹に葉が殆どなく、最終的に INAO から許可をもらえなかったため、収穫することができなかった。畑の健康状態が戻るには最低でも 3 年はかかるであろう。

 

入ハサミ

 10月1日。収穫の2週間前からずっといい天気が続いていたが、今朝は久しぶりの曇り空だ。振り返ればブルゴーニュは「よく雨が降る」という事実を忘れる程、ここのところ晴天が続いていた。そう、今年は葡萄の成熟に時間はかかったが、幸いなことに9月に入り、ブルゴーニュに乾いた北風が吹いたおかげで、葡萄の粒が小さく味が凝縮していた。なんとか期待できそうだ。

 夜には雨が降るという予報だったので、仕込みの合間に畑を見回った。葡萄は赤を通り越して、黒紫色に熟していた。収穫の1週間前に葉摘みをしたことで、色つきはまぁまぁ均一だ。葡萄の色はそのまま糖度にも比例する。葡萄の房の内側まで黒く色がつけば、収穫するタイミングと考えられる。「これだったら、いつでも収穫できる」。そう思っていたところに、パトリックから「午後、セルパンティエールを切るぞ」との電話があった。天気はいまいちだが、気温は十分下がっている。このまま収穫すれば、自然に低温浸漬が出来る。気持ちが一気に高揚してきた。

 千砂さんに「これから切ります!!」と伝え、私は畑に向かった。心がワクワク感でいっぱいだった。栽培として「ここまで来れた」という安心感と共に、これからどのようにワインに仕上げていくのかという期待感、不安感が自分のなかで交差した。とにかく、無事に収穫できること事実に心を躍らせた。

 畑に着いた頃、もう収穫隊が切り始めていた。私はハサミとバケツを手に取り、切り忘れられている葡萄を収穫した。ただでさえ収穫量が少ないんだ。見逃すわけには行かない。正面からフィリップがやってきた。「セイイチ、葡萄はいい感じだよ」と言われた。この言葉には素直に喜んだ。

 

樽入れ

 醸造所に運ばれた葡萄は綺麗に選果、除梗されて大きい木の発酵樽に入れられた。このなかで葡萄からワインになっていく。ドメーヌシモンビーズの造りの特徴として挙げられるのは「全梗仕込み」である。つまり葡萄の梗を取り除かずに房ごと発酵樽に入れて、発酵させる昔ながらの方法である。伝説の醸造家アンリ・ジャイエが提唱する「除梗仕込み」が主流のなか、ビーズ家は伝統的な方法を続けている。つまり、大きい木製発酵樽による全梗仕込み、そして蔵つき酵母による自然発酵である。

 ただし、梗を入れて発酵するのは、葡萄がよく熟し、樹齢が20年を超えたものに限られている。今年に関しては葡萄の成熟に時間がかかり、梗まで熟していないと判断したため、2つの畑を除き、除梗を行った。

 

分析

 収穫量は樽4個分である。 1200 本のワインが出来る計算だ。やはり例年に比べて収量が少ない。果汁の比重は 1090 、温度 15 ℃。糖度はそこそこある。温度も低いので、このまま低温浸漬ができる。樽に入れられた葡萄に直ちに SO 2溶液5%を 2.5L ( 0.7L/p )加えた。

皆さんもよく知っていると思うが、 SO2 は俗でいうメタカリである。酸化防止剤として使用される。それ以外に殺菌作用、清澄作用、さらにワインに入れることで味がスマートで切れのある味に変わる働きもある。というように SO2 は様々な用途に合わせて使われる。ここでは発酵前の果汁をバクテリアなどの汚染から防ぐ目的で入れている。

 

☆セルパンティエールの果汁分析値を見てみましょう☆

総糖量          204 g/L

可能アルコール度    11.7 %      13% 以上まで上げる必要がある

総酸量          6.95 g/L     酸度しっかりある

p H            3.12       十分低いので問題ない

酒石酸量         4.2 g/L

リンゴ酸量        5.7 g/L     ちょっと多い。 MLF (乳酸発酵)後に減るので、p H が上がる可能性がある

カリウム量        1.3 g/L     特に影響がない

 まとめると、酸味がしっかりあるが、リンゴ酸が多くの量を占めている。 MLF 後にリンゴ酸が乳酸に変わるので、p H が今よりも高くなる可能性がある。発酵後の状態をみて、p H の調整を決める。期待するアルコール度数よりも低いので、補糖をしてアルコール度数を 13 %以上に上げる必要がある。

 

 

タンニン添加

  10 月 2 日。果汁にタンニン 240g ( HARMONIA PLUS 60g/p )添加した。

     ・果汁の色を安定させる

     ・粗い成分を沈殿させる

 主に2つの目的で入れる。ピノ・ノワールは非常に色の抽出が難しい品種である。色がワインの中に安定して溶け込むよう、タンニンを添加した。また、タンニンは果汁中の粗い成分、つまりワインに雑味を与えるような成分を沈殿する働きもある。これにより、ピノ・ノワールのより綺麗で繊細な味わいを発酵で引き出すことを期待できる。

 

 

酵素添加

 10 月 3 日。酵素 40g(10g/p) を加えた。皮の色の抽出を助長するために、酵素を入れた。なぜここまで色にこだわるのか。個人的な意見だが、料理と一緒で、一皿の料理を楽しむには味覚だけでなく、目から入ってくる色合いや盛り付けもまた味に加算されて、判断の要素となる。ワインも同じように考えられるのではないでしょうか。もちろん、色の抽出に伴って、様々な成分もワインに溶け込むので、味の複雑味が増すと考えられる。

 

 

発酵

 収穫時の果汁温度が 15 ℃と低かったため、自然の状態で低温浸漬が 10 日間続いた。今はテクニックとして低温浸漬が教科書に書かれているが、昔は収穫する時期が 1 0月中旬だったため、気温が低く、自然に低温浸漬が行われていた。今年は収穫が 10 日ほど遅れ、さらに収穫中は晴天が続き、放射冷却により、寒い日々が続いた。ちょっと昔に戻った状態であった。

低温浸漬 ;低温の状態で果汁をもろみ(皮や種)につけることである。これをすることで

色が多く抽出できるほか、バクテリアの繁殖を防ぎ、ワインに果実味を多くもたらすことができる。

 発酵の様子を知るために、比重と温度を毎日測った。比重は果汁中の残糖量を表す。比

重が少なくなるにつれ、糖分が減り、アルコール分が高くなることを示す。酵母が活発に活動すると熱を発するため、温度は酵母の活動状況を知る指標である。

 

 低温浸漬の期間が本当に長かった。4、5日で発酵が始まるだろうと想定していただけに、気が気ではない毎日が続いた。毎朝、樽を覗くたびに、「まだか〜」。経験が少ない分、この時ばかりは心配が募った。パトリック(当主)がからかうように「セルパンティエールがバクテリアに汚染されている」と言ってくる。そんな冗談を余裕持って返せない自分がそこにいた。

 毎日のように樽とにらめっこをして、中に入って足ふみをした。セルパンティエールの様子変化を事細かに記録した。最初の葡萄状態はツヤツヤしているのが、 4 日経つと果汁が外に流出して、果汁に色を帯び始めた。もろみがやわらかくなり、非常に足ふみしやすかった。

  10 月8日夜。一通りの片付けを終え、また樽に顔を出したところ、かすかに炭酸ガスの匂いがした。「おっ、おっ、もしかして・・・」。比重と温度を測ったら、まだ動いてない!だけど、確かに炭酸ガスの匂いがした。アランさんに聞いて確かめたが、「まだじゃない!?」と言われ、ションボリとした。「確かに匂ったけどな〜」。

10 月 9 日朝。昨晩のことが確信に変わった。樽を覗いたところ、ツンとした発酵ガス(炭酸ガス)が顔を襲った。「やはり始まっていた」。やっと肩の荷が下りた。これからが本番だ。発酵の香りは至って健全であった。一度発酵が始まると、酵母がすごいスピードで繁殖し、糖分を消費していった。 5 日間でほぼ発酵を終わらせた。

比重が 1000 を切った頃に、糖を加えて、発酵を続けさせた。シモンビーズの造りのもう一つの特徴は補糖である。発酵の後半に数回に分けて補糖を行うことで、発酵が持続され、温度を保ったままでより長く浸漬することが出来る。この時期は雑味を出さないために、足ふみ作業をやめて、ルモンタージュ(発酵液を循環する作業)を 1 日 1 回行った。そして温度を保つために、発酵樽にシートをかけた。

樽出し・プレス

10 月 16 日。ワインの温度は26℃まで下がり、葡萄の皮も赤に灰色がかかった色合いになり、これ以上もろみとして期待できない。パトリックがいなかったから、アランさんに相談したところ、「樽出しをしよう」。2週間にわたる仕込みの最終章である。

 すぐに千砂さんに知らせ、樽出しの準備にかかった。周りの従業員から「手伝わないから、全部自分でやれよ〜」と軽く背中を押され、発酵樽のバルブを開いた。深紅色の液体が勢いよく流れ出てきた。新生児を見る気持ちで私は横にいた。そして、気付けば回りに人が集まっていた。ニコラ、エディ、アラン、ギオーム、事務室のコレットも出てきた。千砂さんがカメラを持って駆けつけた。皆が見守るなか、セルパンティエールがワインとして誕生した。

 ワインをグラスにとって試飲をした。親バカみたいだが、実に素直でやさしい味わいに仕上がっている。これから熟成をすることで、さらに柔らかい味わいになるであろう。期待したいところです。10月18日、セルパンティエールは無事カーヴの小樽に入り、長い長い熟成に入った。

最後に

 樽出しをする朝、自分が尊敬する人の一人であるアランが私の作業を横で見ていた。彼は流れ出るセルパンティエールを見てつぶやいた。 「これだけみんなの愛情を受けて、美味しくなかったら、もうどうやってワインを造ったらいいかわからないな〜」、「セイイチ、いいワインになるよう、私が気を送ったからね」

 

 今回の徒然草プロジェクトで実にたくさんの方に支えられて、ここまで来れた。だから、みんなで造ったこのセルパンティエールはきっとおいしいワインになると私は信じている。パトリックさん、千砂さんをはじめ、このような貴重な経験をさせてくれた皆さんに対し、心の寛大さを感じると共に、感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございます。

 

2008 年 11 月 18 日

政ちゃん

 

 

 

 

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