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 2006年9月26日Domaine Chevrot かおりさん マランジュ日記

2006年のブドウの収穫 1


8日間に渡る2006年のブドウの収穫が、9月26日(月)に終了しました。収穫人達は旅立ち、今は醸造班のみが残ってワインの仕込みを続けています。


 2006年は、2003年のような猛暑かと思われていましたが、8月に3週間ほど晴れ間の少ない日が続きました。ドメーヌ・シュヴロのビオ(有機農法)の畑では、ある程度の腐敗果が出ました。厳しい選果・・・。収穫は例年より20%減。2006年も収穫量の少ない年となりました。

 さて、そんなことは自分達の問題外とばかりに、収穫人達は毎日(毎晩!?)元気いっぱい!今年は泊まり組が16人、通い組が20人、料理班5人、醸造班5人、シュブロ家一同、総勢約50名の大規模な行事となりました。毎年のように世界各国(フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、デンマーク、ルーマニア、南アフリカ、オーストラリア、日本・・・)から収穫人達が集まりました。“Bonne education!!(なんて躾の行き届いた人たちなの!)”と義母カトリーヌが大絶賛した程、身回りの始末から、道具の手入れ、助け合いの精神等々・・・皆、優等生。8日間の厳しい収穫を一緒に過ごした後は、親しい友。最後は”A la prochaine anne!(また来年も会おうね!)と涙の別れとなりました。

 シュヴロ家でも、急に人がいなくなると寂しいものです。来年の2007年の収穫を心待ちにすることにしましょう!

 

 2006年9月22日 レストランびそう マダムびそうさん 「食のつれづれ」

アンリジャイエ氏、死去

今朝知り合いのジャーナリストからアンリ・ジャイエ氏が死去されたとメールがありました。
夕べ彼とジャイエ氏の話で盛り上がっていた矢先の出来事。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 2006年9月6日Domaine Chevrot かおりさん マランジュ日記

デンマーク出張

 心配していた最近の雨天候も復活。暑いブルゴーニュに戻ってきました。今年は、猛暑の後に、曇りの天候が約3週間続きましたが、その後は良好。ドメーヌ・シュヴロの収穫は、予定より2日早い9月18日(月)から開始となります!!


 本日、デンマーク出張から戻りました。コペンハーゲンは、10年程前にフライト・クルーとして、何度か訪れた町でした。その頃の思い出は、人魚姫の像、にしんの酢漬け、ロイヤル・コペンハーゲンやローゼンタールの陶器、羽毛布団(初フライトでは、根性で日本へ持ち帰りました!)等など・・・・・。今度の滞在では、ドメーヌの仕事ということもあり、どちらかというと、ガストロノミーな日々となりました。

 初日は、ニコラ・ジョリーのBIOの試飲会を訪問(シュヴロはまだメンバーではありません)。フランスの造り手達と合流しました。ピエール・ブノワ(ド・ヴィレーヌ)やシャンパーニュのジャン・ピエール&モルガン・フルーリ、ダヴィッド・レクラパール達と、18世紀の古屋を改装したという、デンマーク人ソムリエのマットとミアの家で夕食。彼の料理のセンスもさることながら、インテリアのセンスの良さに感激しました。デンマーク人は、冬の厳しい気候で豊かに暮らそうという知恵からか、色使いが本当に上手なのです。


 2日目、3日目、仕事、仕事・・・・・。


 最終日は、もともと知り合いであった、デンマーク人のボルドーワインメーカー“d:vn”(http://www.cousin.fr/home.php)オーナーのヤコブと、コペンハーゲンのミシュラン1つ星レストラン“NOMA”ディレクターのアンデルス達と食事。ワインはもちろんのこと、旬のセップやトランペット等のきのこやロブスターといった海産物を思い切り楽しみました。デンマーク人は、一般的に流暢な英語を話しますが、ガストロノミーな世界では、ここでもフランス語が主流。どこに行っても言葉には困りませんでした。

 こうして、あっという間のコペンハーゲン滞在は終了。体重は、5日間で5kgオーバー!? このまま滞在し続けると大変なことになる!!とばかりに、パリ行きエアーフランス2351便に飛び乗ったのでした・・・・・。

コペンハーゲンお勧めレストラン(デンマーク料理)


・ TyvenKokkenHansKoneOgHendesElsker
Magstraede 16 ? 1204
Tel 3316 1292
http://www.tyven.dk

・ NOMA(ノマ) 
Strandgade 93 ? 1401
Tel 3283 3816, Fax 3295 9722
http://noma.dk

・ GAMMEL MOENT 
Gammel Mont 41- 1117
Tel 3315 1060, Fax 3315 1031
http://gammel-moent.dk

・ Kanal Cafeen (キャナル・カフェ) オープンサンドイッチFrederiksholms Kanal 18 ? 1220
Tel 3311 5770, Fax 3313 7962

 月暦閏七月六日 サヴィニー便り Bize 千砂さん

フランス人は生活のオン・オフの切り替えがとても上手。先週末、スキーリゾートの地であるMEGEVEの友人が経営するホテルへ行ったときのこと。夏休みのピークを過ぎ、ゆるやかな時間の流れを感じさせるホテルにそろった顔ぶれは普段はとても忙しくて全く顔を合わせることのない知人ばかり。私たちは週末のみだったけれど、みんなは家族と或いは子供を預けて夫婦だけで2週間の滞在だというではないですか。
「さすがフランス人、2週間のバカンスなんて」(そういう私も長期のバカンスをいただきましたが)と思うのと同時に、「こういう家族との、あるいは夫婦水入らずの時間が人生には必要」とつくづく思ったのでした。
というのは、里帰りしたときのこと。兄に長女が誕生し、会いたいなと思い電話をすると、「仕事で疲れちゃって、とても東京に行く気力がないよ(沼津在住)。少しでも寝たいんだ。」というお返事。家族思いの兄からこんな返事が返ってくるとは正直、思いもしなかった。
子供が誕生したばかりで本来なら元気いっぱいなはずなのに、こんなに兄を疲弊させ、休みを与えないその会社を憎み、そんな状態を放置する日本の社会はどうしても変だと思わずにはいられませんでした。
こんな兄の姿を見て育つ姪っ子のことも心配になってしまいます。家にいると休んでばかりいるお父さんの姿を見て、「だらしないんだから!」って思うに違いありません。本当は違うのに…。日本の社会のゆがみを身近に見て、こんな状態の国に絆なんて生まれないな、なんて思いました。
一方、フランス。2週間のオフの間は、子供をつれて山登りをしたり、一緒に食事をして会話の時間をたっぷり持ち、奥様とは愛を確かめ、いい雰囲気です。
ただ、これはオンとオフの切り替えをはっきりできる人の話で、できない人は怠け者になってしまう。その数が多いことも確かです。

前置きが長くなりました。いよいよ「ビーズワインの秘密・除梗の妙味」の講義です。

まず、ワインスクールで習う、赤ワインの醸造方法についての復習。
「収穫 − 除梗・破砕 − 第一次発酵 − 圧搾 − 第二次発酵 − 澱引き − ビン詰め」
ざっと、こんな感じではなかったでしょうか。そう、「除梗」はするものとして教わるのです。

そもそも、除梗とは何でしょう。梗を除く作業のことです。梗は、ブドウの実を食べた後に残るイガイガの部分です。それを現在は専用の機械を使ってはずし、果粒の部分だけを採取し、醸造の過程にはいっていきます。

まずは果梗と果粒の成分を見ていきましょう。
「果梗は、房の骨格であるとともに血管の役割を果たしている。一房の収量の4−6%に当たり、42%の水分と、50%のセルロース、ほかにはミネラル(塩化物、リン酸カリウム、石灰、ソーダ、硫酸塩など合計4.3パーセント)、酸(酒石酸、リンゴ酸、クエン酸など1.6%)、タンニン(1.3%)が含まれている。」
「果粒はブドウにとって一番大切な部分であり、重量の94−96%を占めている。果皮(1−20%¬)の重量はさまざまな影響を受けるもので、ヴィンテージの特徴によって大きく左右されるほか、栽培法や品種による差も無視できない。それ以外に果粒に含まれているものは、水分(66%)、セルロース(30%)、ミネラル(1.3%)、酸(0.4%)、タンニン(1.5%)などである。」(「アンリ・ジャイエのワイン造り」より抜粋)
セルロースは繊維ですから、それを除くと以外にも梗のほとんどの成分は水分となります。また、酸やミネラル分が果粒よりも豊富であることにお気付きになっていただけるでしょうか。

では、除梗をしない全梗の造りの特徴をイギリスのワイン評論家、Clive Coatsの資料を参考に列挙すると下記のとおり。
@ 梗を入れることでタンニン分、ストラクチャー、そして酸味が増す。
A 梗がある程度熱を吸収することで、発酵が均等に進む。
B 果粒を潰さずに発酵過程に入る可能性が高まり、その分複雑なアロマを生み出す。
C 通気性を高め、また搾汁を容易にするなど、物理的に発酵を助長する。
と、いろいろな利点があるが、除梗をしない造り手に言わせると、「昔からそうやって造ってきたから」というのがメインの理由。

逆に、反対意見としては次のとおり。
@ 果粒が熟しても果梗がそうであるとは言い切れない。また、梗の存在は青臭くぎすぎすした印象を与えないとも限らない。
A どんなに梗が熟していても、繊細なピノ・ノワールの赤い果物のアロマを覆い隠してしまう。
B ワインの色合いが薄くなる。
C 梗に酸の成分が多く存在することとは逆に、カリウムを含むため酸が低下させる可能性がある。
D 除梗したほうがアルコール度数が若干高くなる。
これらの結果、除梗したほうが、発酵がより効果的に進み、リッチで厚みがあり、口当たりがよく、甘美な(甘い)ワインとなる。

クライブ・コウツはこのように説明し、本人としては除梗をしたワインを好むとしながらも、ブルゴーニュワインの個性消滅、スタンダード化に警鐘をならしています。

その他、全梗の造りは、揮発性酸(acide volatile)と還元臭(reduction)の原因となり、残糖を引き起こしやすい、といわれます。また、通気性がよくなることで、プレ・ファーメンテーションが行われず、発酵期間が短くなるとも。
それに対してパトリックは独特の方法で対処しています。発酵途中で敢えて補糖をすることで発酵期間を長くし、ワインにフィネスを与えます。揮発性酸については全く認識しておらず、還元臭がある程度発生することについても、「だから何?」という感じでした。

引き続きパトリックいわく
「教科書を書いているような学者は、ワイン造りなどしたことのない人間。ワイン造りは何よりも経験が良いワインを造り出す。全梗の造りは確かに若いうちはタンニンが目だち、青さがあったりするが、それが熟成と共に素晴らしいフローラルなアロマを生み出し、エレガントなワインとなる。この香りは現代のどんな技術をもってしても真似のできないものである。」

さすが。ワイン造りを全く学校で勉強したことなく、実地主義の彼のお言葉だけあり、響きます。

今でも全梗の造りをしている造り手はブルゴーニュでは数えるほどしかありません。代表はDRC、Clos de Lambraus、Bize、l’Arlot、Dujac といったところでしょうか。

自然派ワインの流行の次は、全梗ワインかな!?